AMD 5x86実験記録 96/2



背景

雑誌やパソコン通信等で話題のAMD 5X86です。40MHzX4倍速で動けばPentium 90MHz並みの性能を 発揮するそうです。(ちなみに規定周波数は133MHzです。念の為) 価格が安い事もあり、一つ買って実験してみる事にしました。

AIR 486PI編

最初に実験したMBはAIR 486PIです。IntelDX4と5x86を交換し電源ON。 ・・・HDDから起動しません。FDも同様。ただしBIOSの設定等は出来ます。 起動シーケンスに入る前にコケているようです。第1段階は失敗。

AIR 486PIはCPUや供給電圧の設定がありません。起動時にCPUの判定を行い、自動的に制御していると 思われます(推測です)。チップセットがIntel Ariesと言うこともあり、AMD不可の可能性もあります。 そこでAMD 486DX2で確認しました。動きます。AMDは未対応と言うことでは無さそうです。

ここで壁にぶちあたりました。MBには何も設定するところがありません。最近のMBならここでBIOSの アップデートとなるところですがAIR 486PIは生憎FLASH BIOSではありませんのでそれも出来ません。

とりあえず買って来た下駄に乗せてみる事にしました。しかし今度は画面すら出なくなりました。 下駄上のレギュレータの電圧を測ったところ、
入力電圧 3.4V
出力電圧 2.2V
でした。よってMBはDX4だと思い込んで3.3V駆動しており、この3.3Vを下駄がさらに降圧しています。 これでは動かなくて当然です。

そこでレギュレータをバイパスするようにカット&半田づけを行いました。この状態だと最初の 状態と同じでBIOS設定可、起動不可、です。下駄上のジャンパをあれこれ組み合わせて見ましたが、 ついに起動する事はありませんでした。残念ですがこれまでのようです。

Microstar MS 4132G 編



とりあえず33X4倍の設定でFDから起動をさせました。問題ありません。正常に動いているようです。 次に40X4の設定で挑戦。惜しくも起動直前に"invalid command.com"が出て駄目です。ここでBIOS設定の 見直しを行いました。調査の結果、Externalcache writeback動作をOFFにすると起動する事が 分かりました。(memory回りが強烈に遅くなりますが)
とりあえずこの状態で1晩中3DBENCHを回してみましたが特に問題は無いようです。 (冷却はただのファン付きヒートシンクです)

その後150MHz(50MHzX3)に挑戦したところ、何の問題も無く平気で動きました。各種Benchを 取ってみると160MHzよりよい結果が出ました。50MHzの威力と言ったところでしょうか。 最終的にWintach Overall 220/C16まで向上しました(PowerWindow928IIVLB)。画面まわりはそこらの低速Pentium機に引けは取らないでしょう。


欠点

ただしこのシステムには実用に際しては致命的な欠点が有ります。それは「HDDが遅い」。 大昔のMotherBoardであるがためE-IDEには対応していません。手持ちのAHA-1522AでSCSI-HDDを繋いでいましたが, それでも2MB/Secすら出ません。最新型PCI-BUSのMBであればまだ救いようもありますが、いかんせんVLBでは 手の施しようがありません。

考察

当初の目的である160MHz&150MHz動作を達成する事が出来ましたが、思ったほど性能が出ないようです。 システム全体の性能はPentiumに追いつけないと思います。 アップグレードに用いる場合は、現在DX2-66以下を使っているシステムには効果はありますが、 DX4の場合は導入するメリットは無いように思います。

また、旧型のシステムの場合は上記の通りHDDの速度がネックになってきます。E-IDEやPCIが使えない場合は そのシステムの寿命は尽きています。確かにVLBのE-IDEカードやSCSIアダプタも存在しますが、まともに 動くという保証は有りませんので、新規に購入する価値は無いと思います。
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